2つのカーブが交わり生まれる緊張感
倉俣史朗 Sing Sing Sing（シング シング シング）

「重力」「光」「空気」
「夢」「記憶」「時間」

そんなキーワードで語られる詩的な作品を数多く残した伝説的デザイナー 倉俣史朗氏（1934-1991）。
ミッドセンチュリー期に頂点を迎えたモダニズム思想が変容し始め、ポストモダンの時代を迎える1960〜1980年代を駆け抜けるように創作活動を行いました。

ガラスやアクリル、エキスパンドメタルなど透過性のある素材使いや、ヘアライン加工したアルミ材にアルマイト処理を施した「霧のような表情」。
それらを通じて表現された浮遊感あふれる「夢を見ているような」デザインは、世界的に高い評価を得ています。

ベニーグッドマンの演奏で知られるジャズスタンダード「Sing Sing Sing」
その名を冠したカンティレバー構造のチェアは、倉俣氏が名作How High The Moonにも使用したエキスパンド・メタルを素材に用いた最初の椅子です。

脚部と一体となった肘掛けのカーブと、S字状のシートの曲線が交わり、美しくも絶妙な緊張感を生むSing Sing Sing。
金管楽器が奏でる音がキラキラと、そして弾むように響く様子を、そのまま形に写し取ったかようです。
エキスパンドメタルが視覚的に重なりあり、モアレのように映る様子もため息の出るような美しさを感じさせます。

浮遊感を感じさせるカンティレバー（片持ち）構造は、後ろ脚がないため座ると脚がしなり、金属の座面とは思えない柔らかな座り心地をお楽しみ頂けるのも魅力。

倉俣氏は家具を単なる「機能的な道具」としてではなく、「哲学的な考察の対象」または「家具としてもつかえるオブジェクト」と捉えました。
その作品は「デザイン」「アート」といった枠組みを超えて、各国の美術館・コレクターに愛され続けています。






 

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デザイン : 倉俣史朗｜Shiro Kuramata
ブランド : ギャラリー田村ジョー
サイズ・重量 : W525×D607×H858・SH440mm
材質 : エキスパンド・メタル
生産国 : Japan